【Q】ノックアウトマウスのノックアウトとは何ですか?
今回は、カフェで脊椎動物の前足の発生と進化のお話をしてくれた遠藤哲也さんです。
Q: ノックアウトマウスのノックアウトとは何ですか?(霧夜)
A: 日本語で言うと「遺伝子破壊」と言うことになると思います。ゲノム上のある特定の遺伝子を狙って、ボクシングで相手をノックアウトするように破壊することです(ボクシングで「相手を破壊」などというと、少し怖いですが)。実際の研究では、ある遺伝子を働かなくした(破壊・ノックアウトした)動物がどんな症状を示すか調べることで、その遺伝子が通常はどんな働きをしているかを理解するために用いられます。逆に何かの遺伝子を人為的にゲノムの中に入れるノックインという技術も存在します。
これらの技術によって、遺伝子の働きを探る研究は飛躍的に進歩しました。特に遺伝子ノックアウト技術は、遺伝子の働きがおかしくなることで生じる遺伝病やガンの研究に、大きく貢献しています。ES細胞を応用してこの技術を開発した米国のマリオ・カペッキ博士は、1996年京都賞を受賞し、現在ではノーベル賞候補とも言われているそうです。(遠藤)
丁寧に読むとわかると思いますが、もしもわからないことがあったら、再質問してください。
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コメント
場違いなコメントです。 失礼。
今日、COSTEPのシンポジュームに参加してきました。 「サイエンスカフェ、最多得点」おめでとう御座います。 コメンテータの皆様から「目的が・・・」と言うコメントがありましたが、いささか疑問を感じました。 そもそも、科学に興味を抱くのに、普遍的、ないしは意図された目的があるのでしょうか? あるとすれば、極めて個人的な「探究心」のように思います。 そう言った、探求心を率直に表現し、「同じ思いの人が居る」、「こうしたアプローチの仕方がある」と言う見本を示すので十分ではないでしょうか? その結果として、社会に何かを伝えようと言う意欲、社会の問題点を訴えようとする人が少しでも勇気付けられれば良いと思うのですが。 コミュニケータ(コミニュケータではありませんね?)の役割は何処を目指すのでしょうか?
投稿: hero | 2006年3月18日 (土) 21時44分
heroさん、コメントありがとうございます。ならびに、今日のシンポジウムに参加していただけたということ、感激です。サイエンス・カフェでの出会いが、ここまで発展するとは正直いって思ってもいませんでした。ところが、今日は懇親会の席でも「カフェ仲間」に会うことができ、感動していたところです。カフェってすごい!
さて、コメンテーターの方からなかなか厳しいお言葉をいただいたのは事実です。heroさんのおっしゃるように「何もそこまで」という意見もごもっともだと思いますが、私としてはあのコメントは我々主催者側に対して「たとえうまくいったからといって、調子に乗ってはいけませんよ」という戒めの言葉だと思っています。たとえ意図を持ってやったとしても、たまたま集まったたくさんの人を意図のように動かすことなどできません。カフェというものは、あくまでも我々と参加された市民の皆さんがその場で作る即興作品だと思います。コミュニケーターというものは、その即興劇の舞台を用意する裏方というのが最低限の役割でしょうか。目的を持って誘導しようなどと思った瞬間に失敗が約束されているようなものだと思います。
投稿: 栃内 | 2006年3月18日 (土) 22時59分
CoSTEPの教育スタッフの一人として,サイエンス・カフェの制作を含む「科学技術プレゼンテーション実習」を担当しています。heroさん,昨日は発表会・シンポジウムへのご参加,またコメントありがとうございます。
サイエンス・カフェに関していえば,私も,栃内さんの書かれているとおり,即興劇のプロデューサー,演出家,裏方といったところがコミュニケーターの基本的役割だと考えています(もちろん,3月10日のカフェでの,栃内さん,中村さん,メインスピーカー,ファシリテーターの皆さんのように,「俳優」として舞台に立つという役目もありだと思います)。こうした「演出」や「演技」を通じて,よく知らない人同士(“専門家”“市民” etc.)が出会い,科学技術をめぐって対話する場を創出することが,コミュニケーターの仕事になると思います。どうしてカフェをやるのかという「目的」(この場合,個人的にはあまり好きな言葉ではないのですが)を問われれば,このような次元で答えるしかないような気がしています。
投稿: 三上 | 2006年3月19日 (日) 07時37分
私はサイエンスカフェに何回かボランティアで参加させてもらっている大学院生です。
私は1月にあったワークショップでのトム・シェイクスピアさんのお話がすごく印象的に残っています。トム・シェイクスピアさんはイギリスにおけるサイエンスカフェの第一人者です。シェイクスピアさんは話の中でサイエンスを文化の一つとして捉えていくこと、映画館や劇場に行くように気軽にサイエンスカフェに行くことを提案していました。
サイエンスコミュニケーターは科学の専門家ではない人が多いと思うので、特別な思想に偏っているわけでもなく中立的な立場で科学を楽しむことができる人達だと思っています。だから、何か難しいことを訴えるというよりも、歌ったり踊ったりするように、一つの自己表現の手段としてサイエンスカフェをやっても良いのではないかと私は感じています。私がボランティアをやっているのも、幾つか理由があっても、根本はカフェをやっていて気持ちが良いという理由からです。
映画もお芝居も面白くなかったら、お客さんは来なくなります。サイエンスカフェだって面白くなかったらお客さんは来ないし、カフェの場でも盛り上がらないと思います。その点で言えば札幌のサイエンスカフェは大盛況でしたし、文化として確立していくことも夢ではないような気がしています。
投稿: mutumi | 2006年3月20日 (月) 23時15分
ここで話されていること、とても大事な話だと思いました。関連意見を「シンポジウム関連の話題」のエントリーにTBしました。
♪栃内先生へ 「ノックアウトマウスのエントリー」を別日程で入れなおすという手があります。で、ここのエントリーをシンポジウム関連にしてしまうとか。ノックアウトマウスに関するコメント(まだ入ってませんが)とシンポジウム関連コメントが混在しなくていいかもしれません。ご依頼いただければ私の方で作業しますが。
投稿: 中村 | 2006年3月23日 (木) 10時31分
中村さん、ありがとうございました。早速別エントリーに取り込みたいと思います。
投稿: 栃内 | 2006年3月23日 (木) 12時10分