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2006年4月 4日 (火)

【Q】抗体とDNAの関係について

 今日は4月4日とぞろ目でなんとなく縁起も良さそうなので、またひとつ回答を追加してみたいと思います。

Q: 抗体とDNAの関係について(奥村)

A: 奥村さんはどこかで抗体を作る時にはDNAが変化しているという話を聞いたことがあるのかも知れませんね。わたしたちの身体をつくっているすべての細胞は、たったひとつの受精卵が細胞分裂してできたものなので、遺伝子やDNAはすべてが同じだと考えられています。生物というのはどんな場合にも例外を持っているもので、これにも例外があったのです。それを発見してノーベル賞をもらったのが、日本人の利根川進さんです。

 遺伝子というのはDNAのうちタンパク質を作る設計図の部分であるということは何回か説明したと思います。抗体もタンパク質なので、ひとつの抗体をつくるのに遺伝子がひとつあると考えられていました。ところがゲノムプロジェクトでもわかったように、ヒトやマウスなどの遺伝子は高々数万個しかないことがわかっています。

 ところが抗体は病原体などの持つ抗原と結合するために、少しずつ結合部分が違う形をしているタンパク質で、それがどうやら何百万種類もあるらしいのです。何百万ものタンパク質を作るにはその設計図も何百万必要になります。数万個しかない遺伝子からどうやって何百万ものタンパク質を作ることができるのでしょう。

 利根川さんはこのパラドックスを解くために、抗体を作る細胞だけは例外的に遺伝子が変わるのではないかと考えました。そして、調べてみたところまさにその通りだったのです。

 遺伝子の変わり方なのですが、抗体というタンパク質を作る遺伝子はいくつかのパーツに分かれていることがわかってきました。そして、抗体を作る細胞では細胞ごとにそのパーツを組み合わせてひとつの抗体を作るようになっています。

 例えば抗体を4つのパーツからなる遺伝子で作ると考えてみましょう。それぞれのパーツが例えば100個ずつあったとすると、組み合わせの種類が100x100x100x100となります。この方法で、100+100+100+100=400個の遺伝子パーツから1億種類の抗体を作ることが可能になるのです。

 実際に動物のからだの中でも似たようなしくみによって、少ない数のDNAパーツから無限ともいえるくらたくさんの抗体を作ることがわかってきました。

 このしくみは抗体だけではなく、ウイルス感染と戦うT細胞がウイルスなどを見分けるために使っているTCR(T細胞受容体)でも使われていることがわかっています。

 こうして私達の身体の免疫細胞は、どんな抗原にでも反応することができるようになるのです。(栃内)

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