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2006年4月20日 (木)

【Q】どうしてDNAだけが遺伝子なのか

 先日、コメント欄でgiさんから質問をいただきました。そのうちの前半にお答えしてみたいと思います。

Q: 遺伝に関係している物質は、本当にDNAだけなのでしょうか?それ以外の物質が遺伝に関係している可能性は無いのでしょうか?もし無いとすると、どうしてDNAだけが「選ばれた」のでしょうか?(gi)

A: なかなかよい質問ですね。さすが「身内」だけあります。さて、「遺伝に関係している物質」と言ってしまうとちょっと幅が広くなってしまいますので、遺伝子は本当にDNAというのはDNAだけなのでしょうか、というふうに書き換えさせてもらいます。遺伝子というものの定義にもよるのですが、現時点までに地球上で確認されている遺伝子は核酸だけです。核酸にはDNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)があります。地球上のほとんどの生物はDNAを遺伝子として使っていますが、エイズウイルスであるHIVなど一部のウイルスではRNAを遺伝子として使っています。逆にいうと、核酸以外が遺伝子である例は未だに発見されていません。おそらく地球上では核酸以外の物質を遺伝子とする生物が発見されることはないだろうと思われますが、もしも他の星で生命体が発見された場合には核酸以外のものが遺伝子となっている可能性は否定できません。

 では、なぜ核酸が遺伝子として使われるようになったのでしょうか(遺伝子以外の核酸もあります)。遺伝子DNAは二本鎖がからまりあった二重らせんになっていることは「【Q】なんでDNAは二重らせんなの?」で説明してありますのでお読み下さい。そこで書かれたようにDNAの二重らせんは簡単に自分と同じものを複製することができる物質なのです。この同じものが複製されるという性質が親の性質が子どもに伝わる遺伝という現象を保証することになっています。RNAも一時的に二重らせんを作って複製しますが、普段はらせんがほどけた1本鎖の状態になっています。つまりRNAが複製してできたものは、もとのRNAを鋳型としてできたネガフィルムのようなもので、もとと同じものを作るためにはもう一度複製を繰り返さなくてはなりません。こういう手続きの煩雑さとDNAと比べると物質として壊れやすいということから、多くの生物ではDNAを遺伝子として使っていると考えられています。

 地球上に最初に現れた生命体は遺伝子としてRNAを使っていたという説があります。RNAは時として酵素の働きを持つことがあります。我々のからだの中ではほとんどの酵素はDNAの設計図から作られたタンパク質です。RNAが遺伝子DNAと酵素タンパク質の両方の働きをしていた原子生命体が進化するにつれ、遺伝子としてはRNAよりも安定なDNAを使い、酵素などの働く分子としてはRNAよりも効率よく働くタンパク質を使うようになったというストーリーです。RNAだけが働いていた時代をRNAワールドと呼ぶこともあります。もちろん仮説ですが、その時の名残で未だに遺伝子の設計図を読みとる時にRNAを必要としているのという話は、なかなかおもしろいと思いませんか。(栃内)

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コメント

お答えありがとうございます。
太古の昔、生命が誕生した時の初期条件が違っていたら、もしかして今とは全く異なる生物が栄えていたのだろうか、それともやはり、初期条件がどうであれ特定の選択肢が選ばれるような強い相互作用があったのか、などと、過去にさかのぼって「有り得たかもしれない現在」を想像するのは大変刺激的で、楽しい試みですね。

投稿: gi | 2006年4月24日 (月) 15時36分

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