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2006年5月18日 (木)

【Q】致死遺伝子って何ですか

 しばらく間が空いてしまいました。まだ、すべてのお答えが終わっているわけではありません。今日は、メンデルの法則が成り立たない時に習う「致死遺伝子」についてです。

Q: 致死遺伝子というものを聞いたのですが、すべての生物が持っているものなので
すか?そもそも何をするものなのですか?(霧夜)

A: 致死遺伝子というのは、特定の働きをする遺伝子を示す言葉ではなく、ある遺伝子があるとその個体が死んでしまう遺伝子をまとめてそう呼んでいるものです。遺伝子の中でも、大切な働きをするものでひとつしかないものが突然変異などで働かなくなってしまい、父母からもらった二つの遺伝子ともがそういう状況になってしまうと生きてはいけなくなりますから、重要な遺伝子が働かなくなるとその働かなくなった「遺伝子」は「致死遺伝子」になってしまいます。

 ある遺伝子を持っていると必ず死ぬという遺伝子がもしあれば、それも致死遺伝子ということになりますが、その遺伝子を持っていると死ぬのであれば、子どもを残すことができませんので、その遺伝子は一代限りで消えてしまいます。というわけで、ある遺伝子を持っていると必ず死ぬという、いわゆる優生の致死遺伝子というものは、存在しません。

 というわけで、致死遺伝子は2個ともが致死遺伝子になったとき(ホモ)だけ死にますから、メンデルの法則が成り立たないように見えるのです。致死遺伝子で致死の子が生まれるのは、両親ともに致死遺伝子を1個ずつ(ヘテロ)で持っている場合で、例えばAという重要な遺伝子が突然変異で働きをうしなってaという遺伝子に変化した場合を考えてみます。両親がヘテロでその遺伝子を持っている(Aa)とすると、その子どもが持つ遺伝子の組み合わせの確立はAA:Aa:aaが1:2:1となります。AAとAaは正常な遺伝子Aを持っているので生きていけますが、aaは持っていませんので死んでしまいます。そこで、生まれる子供はAA:Aa=1:2という比率になってしまうのです。

 なにか悪いことをする遺伝子というような印象を持たれがちな「致死遺伝子」は、高校の教科書には出てきますが、実際の研究現場では「この遺伝子をホモで持つと致死になる」という使われ方をする場合が多く、「致死遺伝子」という言葉はほとんど使われることはありません。(栃内)

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