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2006年6月10日 (土)

【Q】長沼町の遺伝子組換作物と遺伝子治療の人とを同等に論じて良いか?

 同じように遺伝子を操作するという、遺伝子組み換え作物と遺伝子治療のどこが似ていてどこが違うのでしょう。これについても、高橋さんが答えます。

Q: 長沼町の遺伝子組換作物と遺伝子治療の人とを同等に論じて良いか?(ナルミ)

A: 遺伝子組み換え作物については、別エントリー「遺伝子組みかえ作物はどこがどのように危険なのか」の最初の方に説明がありますので、ここでは詳しい説明を省かせていただきます。
 「遺伝子治療」というのは、「遺伝子の操作によって病気を治療する」というやり方にあてはまる、様々な方法をひっくるめた呼び方です。
 傷ついたり正常に機能しなくなったりした遺伝子の代わりとなる正常な遺伝子を細胞に導入する、病気の原因となっている遺伝子の働きを抑制する、などのやり方があります。遺伝子の導入法としては、ヒトの体に直接遺伝子を入れる方法と、ヒトの体から細胞を取り出し、体外で遺伝子を導入してから再移植する方法とがあります。

 さて、「遺伝子組換作物と遺伝子治療の人とを同等に論じて良いか?」というご質問ですが、結論から言えば「ダメです」ということになると思います。遺伝子組み換え作物と、遺伝子治療を受けたヒトとの間には、いくつかの大きな違いがあります。

 まず一つは、遺伝子組み換え作物の場合は「植物体全体」の細胞の遺伝子が組み換えられているのに対し、遺伝子治療は「体の一部」の細胞のみが遺伝子の操作を受けるということです。
 植物やヒトは多細胞生物であり、一つの個体が沢山の細胞からできています。そして、その細胞の一つひとつが、その生物のゲノムを持っています。植物の遺伝子組み換えというのは、まず植物細胞の遺伝子組み換えを行った後、その細胞を培養して、完全な植物体を作ります。そのため、出来上がった遺伝子組み換え植物は、全ての細胞の遺伝子が組み換えられていて、その子孫にも、組み換えられた遺伝子が引き継がれます。
 一方、遺伝子治療というのは、体の中でも、病気を引き起こしている部分の細胞の遺伝子だけを改変するものです。肝臓が悪いなら肝臓、がん細胞ならがん細胞、というように、体細胞の一部だけが遺伝子操作を受けた細胞になります。そのため、操作によって生じた遺伝子の変化が子孫に引き継がれることはありません。
 また、技術の進み方の違いもあります。遺伝子組み換え作物は、すでに世界の多くの地域で商品として大量に栽培されている段階まで技術が進んでいます。一方、遺伝子治療は、はっきりとした成功例はまだほとんどありません。
 さらに、言うまでもないことですが、遺伝子組み換え作物は植物、遺伝子治療は人間に使う技術です。それだけで、扱い方も気をつけるべき点も取り巻く状況も、様々な点で全く異なってくると思います。(高橋)

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