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2006年6月 8日 (木)

【Q】牛やブタからとったインスリンにはBSEの心配はないのですか?

 なかなか鋭い質問ですが、寺前さんがお答えしています。

Q: 牛やブタからとったインスリンにはBSEの心配はないのですか?(mana)

A: 最近,人畜共通感染症(zoonotic infection, zoonosis)が問題になっています。たとえば,ご質問にあるように,BSE(ウシ海綿状膿症,Bovine Spongiform Encephalopathy)や鳥インフルエンザなどが注目されています。
 ここにあげた2つの人畜共通感染症はまったく異なるタイプのものです。鳥インフルエンザはウイルスによるものですが,BSEの原因となる物質はタンパク質です。このタンパク質をプリオン,もしくはプリオンタンパク質と呼んでいますが,普通のヒトでも正常プリオンとして誰でも持っているものです。これが,何らかの原因で変異を起こすと,感染→発症とつながっていきます。BSEの感染経路については,はっきりと解明されているわけではありませんが,多くの場合,肉骨粉を通じた感染に代表されるように消化管から体内に入り,リンパや神経を経て,脳に入るといわれています。インスリンを作っているのは,膵臓のランゲルハンス島にあるB細胞といわれる細胞です。膵臓も消化器系としてくくられる場所ですが,消化液やホルモンを分泌する場所であり,栄養分を吸収する場所ではありませんので異常プリオンが蓄積することなないと言われています。そのため,ウシやブタからとったインスリンによって,BSEに感染するということは考えにくいです。
 また,インスリンを製剤とするためには,インスリンだけを取り出すことが必要です。これは,インスリンとだけ結合する物質を用いて取り出します。インスリンもタンパク質の一種ですが,この方法によって,BSEなどのタンパク質とは区別して取り出すことが可能です。そのため,取り出したインスリンがBSEの原因となるプリオンタンパク質などと混ざる可能性は限りなく低いと考えられます。(寺前)

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コメント

なるほど。よくわかりました。大変ご丁寧にありがとうございます。

投稿: mana | 2006年6月12日 (月) 17時32分

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