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2006年3月24日 (金)

【Q】なんでDNAは二重らせんなの?

 栃内です。たまには私が答えなければ、ということで出てきました。かなりの難題ですが、チャレンジしてみましょう。

Q: なんでDNAは二重らせんなの?(かんちゃん)

A: さて、この質問がどういう意味で発せられたのかが問題で、それを誤解してしまうと正しく答えられないので、もしも私が意味を取り違えていたとしたら、再質問をしてください。というわけですが、とりあえずお答えしてみます。
 DNAが二重らせんである必然性は、とりあえず「無い」と思います。遺伝子というものができあがってみると、その実体が結果的に二重らせんだったというのがとりあえずの答えになるかもしれません。
 この二重らせんであるということで、遺伝子の性質である親の性質がそのまま子どもに伝わるしくみがうまく説明できます。カフェの時にはあまりそれほど丁寧には説明されなかったのですが、生物学の教科書には必ず書いてありますので、機会があったらみてください。DNAの二重らせんはお互いに「相補的」であることがわかっています。つまり一方の鎖がATGCと並んでいたら、もう一方の鎖はTACG(本当は方向が逆なのですが)になっています。二本の鎖がしっかりとくっつき合うとらせん状にねじれ合うのはその分子の性質のせいなのですが、ともかくお互いに以下のように並びます。

 ATGCATGCATGC
 TACG
TACGTACG

 細胞が分裂するときには、その設計図である遺伝子も分裂して同じものが二個作られなくてはなりません。その時に、DNAの二重らせんはほどけてそれぞれの二重らせんをもとにもう一方の鎖が作られますが、A,T,G,Cという単位を材料にもとの鎖と「相補的」な鎖を作るのです。そうすると不思議なことが起こります。

 ATGCATGCATGC(古い鎖)
     ほどける
 TACGTACGTACG(古い鎖)

      ↓新しい鎖を作る

 ATGCATGCATGC(古い鎖)
 
TACGTACGTACG(新しい鎖)

 
ATGCATGCATGC(新しい鎖)
 TACGTACGTACG(古い鎖)

      ↓できあがった二本のDNA

 ATGCATGCATGC
 TACGTACGTACG

 ATGCATGCATGC
 TACGTACGTACG

 どうですか、みごとにもとと同じDNAの二重らせんが二つに増えました。
 DNAが二重らせんであるということが発見されるまでは、どうやって同じ遺伝子が二つに増えるのかということはまったく謎だったのですが、遺伝子というものが二重らせん構造をしたDNAであるということがわかってみると、親から子へと伝えられる性質は同じ遺伝子が複製されるからだということがすっきりとわかってしまいました。
 やはりノーベル賞に値する発見だったと思います
(栃内)

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2006年3月20日 (月)

【Q】DNAの2重らせんは、けんびきょうなどを使えば目で見ることができるのです

 巷には二重らせんの図や美しいCGがあふれかえっていますので、そういうふうに見えると思うのは無理がないところですが、見えないからこそ図やCGが活用されているということなのですね。またまた川本さんがお答えします。

Q: DNAの2重らせんは、けんびきょうなどを使えば目で見ることができるのですか?(mana)

A: 結論から言うと、二重らせんは今の技術ではまだ見えません。二重らせんの幅は2nmしかありません。これは2mmの1/1000000の大きさです。これくらい小さいと、私たちの目が捉えることができるふつうの光(可視光)を使った、光学顕微鏡という顕微鏡では見えません(学校の理科室によくある顕微鏡です)。可視光ではなく、電子線というものを標本にあてる電子顕微鏡では、すじ状になっているDNAを見ることができますが、二重らせんは見えません。走査プローブ顕微鏡とよばれる特殊な顕微鏡をもちいると、ようやくぼんやりとねじれたような感じにDNAが見えます。でも、これでは二重らせんという立体的な形まではわかりません。
 DNAが二重らせんだということは、直接形を見てわかったことではありません。X線というものをDNAにあてると回折という現象がおきて、縞模様が見えるのですが、この縞模様から、計算によって、二重らせんという立体的な形をわりだしたのです。(川本)

 DNAが2重らせんであるということを突き止めて論文にしたのが、ワトソンとクリックで最近は二重らせんの片方のらせんをワトソン、もう一方のらせんをクリックと呼んだりするようになりました。しかし、実際にX線回折実験をやったのはモーリス・ウィルキンスとロザリンド・フランクリンと言われています。ノーベル賞をもらったのは、ワトソン、クリックとウィルキンスの男性3人だけでした。ノーベル賞の共同受賞は3人までと決まっていたことと、受賞の1962年には彼女はすでに死亡していたことなどの不運が重なったせいだとは思いますが、科学の世界における女性差別の有名な例のひとつと言われています。

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【Q】人体のゲノム(ヒトゲノム)は解読完了したそうですが、本当ですか?

 質問された方が小本さんで、お答えするのが川本さんという、おもしろい組み合わせになりました。

Q: 人体のゲノム(ヒトゲノム)は解読完了したそうですが、本当ですか?(小本)

A: 本当です。といっても本当だと思います、というのが本当です。なぜなら私が解読したわけではないからです。人類は本当に月に行ったのか?と聞かれても、私は月に行ったことがないので、公開されているいろいろな資料などから、人類は月に行ったと、私は判断しています。ごく一部には、月には行っていないと判断している人もいるようですね。
  ヒトゲノムについては、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、日本、中国の多くの科学者が共同で解読作業を行い、きちんとした科学雑誌に解読についての報告がされています。また、インターネット上のデータベースには、塩基配列が登録されています。さらに、今はそれを元に研究が進んでいます。ですから、実は解読が完了していないのに「完了しました」と言っても、すぐにウソがばれてしまいますので、そのようなことをしても何の得になりません。ですから、私はヒトゲノムの解読は完了したと判断しています。(川本)

 とは言っても、世界中の人が持っているゲノムDNAがすべて解読されたわけではもちろんありません。典型的な何人か(おそらく6人から10人くらいと言われています)のDNAをみんなで解読したものですから、ほとんどの配列は全人類で共通だとしても、一人一人のゲノムを調べると少しずつ違うところがあちこちにあるのです。

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【Q】女グセの悪い男性の子ども(息子)も、やっぱり、将来結婚すると、女グセが悪くなるのでしょうか?

 この問には、当日私もいちおうのお答えをしておりますが、ミジンコ研究者の楢木さんからもお返事をいただいています。

Q: 単刀直入に聞きます。女グセの悪い男性の子ども(息子)も、やっぱり、将来結婚すると、女グセが悪くなるのでしょうか?先日、この話で友だちと討論したんですが。(華)

A: この質問の答えは、ズバリ「どちらともいえない」です。
 華さんのお知り合いに、一卵性双生児の方はいらっしゃいますか?もし、性格が遺伝するとするならば、クローンである一卵性双生子の性格はゲノム同様全く同じになるはずですが、実際はそうではないはずです(ぜひとも訊いてみてください)。それは、二人のまわり環境の違い・・・学校のクラス、部活、職業、友人、恋人、どちらが兄(姉)で弟(妹)か、などなど・・・によるのだと思います。なので、女グセの悪い男性の息子はやはり女グセが悪い、ということであれば、それは遺伝ではなく、その息子さんが父親の女性への接し方をみて育ったからだといえます。父親が反面教師となって、息子がものすごく女性に献身的になることもあるんじゃないでしょうか。
 たとえ、百歩譲って女グセが遺伝するとしても、息子さんのゲノムの半分はお母さんのものです。お母さんの性格を譲り受けている可能性にかけましょう。(楢木)

 なおおすすめ本の中にある「ヒトの遺伝の100不思議」の中の、「24 遺伝子で決まるもの、決まらないもの」「31 性格は遺伝する」あたりも書店で立ち読みしてみてください。

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