« 2006年4月23日 - 2006年4月29日 | トップページ | 2006年5月7日 - 2006年5月13日 »

2006年5月 1日 (月)

【Q】Y染色体って、交叉しないんですか

 一時期、天皇の後継問題で騒がしかった時に、男系ではY染色体が受け継がれているから遺伝的正統性が保証されるのである、というような議論があったと思います。このブログを読んでおられる方は女系でもミトコンドリアの遺伝子が受け継がれていて、そちらにも遺伝的正統性があるということはおわかりだと思います。

 そんなこととの関係なのかもしれませんが、カフェ当日におもしろい疑問が出されました。

Q: Y染色体って、交差しないんですかね。本当に。(よ)

A: 交叉というのは、ひとつの生殖細胞の中にある父親由来の染色体と母親由来の染色体のうち同じ遺伝子を持っている「相同染色体」と呼ばれる染色体の間で起こる現象です。

 その染色体の上では、個人によって異なるほんのちょっとした違いを除くと、ほとんどのDNA配列が同じなので、精子や卵をつくる「減数分裂」という特別な細胞分裂が起こる時に、同じ配列を持った部分同士がぴったりと寄り添って、同じ場所が切れたりもとに戻ったりすることを繰り返すうちに、父親由来のDNAと母親由来のDNAが同じ場所でつなぎ換わることがあります。これが交叉で、交叉が起こった場所の前後では、父親由来のDNAと母親由来のDNAが連結されています。

 女性の場合にはX染色体は2本あります。その1本は女性の母親から受け継いだものであり、もう1本は父親から受け継いだものです。その2本の染色体の間では普通の染色体と同じように交叉と遺伝子の乗り換えが起こります。

 一方、男性の場合にはX染色体もY染色体も1本ずつしかありませんので、交叉や乗り換えは基本的には起こらないと考えて良いと思います。ところが、Y染色体というのは、大昔はX染色体だったものから、遺伝子がどんどんどんどん抜け落ちていってできたと考えられており、その一部分(短い腕の端の部分)にX染色体とほとんど同じ配列といくつかの遺伝子(例えばshokと呼ばれる背の高さにに関係したもの)があるのです。このX染色体とY染色体で共通の部分では交叉と乗り換えが起こることも、稀にあるのではないかと考えられています。

 しかし、いずれにしても例外的なことであり、基本的にはY染色体では交叉や遺伝子の乗り換えが起こることは「ない」と考えていても間違いではないと思います。(栃内)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2006年4月23日 - 2006年4月29日 | トップページ | 2006年5月7日 - 2006年5月13日 »